EVT_TOP1.jpeg

末梢血管カテーテル治療

末梢血管カテーテル治療(EVT-Endovascular Treatment)は、動脈硬化などにより狭くなった下肢などの血管を内側から拡げ、血流を改善させる治療法です。

 

手首や腕、脚の付け根などの動脈から、先端にバルーン(風船)をつけた細く柔らかいチューブ(カテーテル)を挿入し、血管が狭くなった部分でバルーンを膨らませて血管を内側から押し拡げ、血流を確保します。

血管を拡げても再び血管が狭くなってしまう(再狭窄)ことがあります。これを予防するために、バルーンの外側に再狭窄を予防する薬が塗布されていて、血管の内側に直接薬を届けることができる薬剤コーティングバルーンを用いることがあります。また、ステントと呼ばれる特殊な金属を挿入し血管の中で拡張させることで血管を内側から補強したり、ステントに再狭窄を予防する薬剤がコーティングされている薬剤溶出性ステントを用いることも。病態に合わせて最適な方法をご提案しています。

血管に病変があっても治療の適用がない場合はEVTをおこなわずに、薬とリハビリによる治療をお勧めすることがあります。お一人おひとりの病気の状態に合わせて、どの治療法が良いかを見極めて選択していくことが大切と考えています。

EVTは外科的手術に比べ、体への負担は少なくてすみますが、病気の状態によっては適用できないことがあります。この場合は、当院循環器内科と心臓血管外科・血管外科が協議して外科的血行再建の適用について検討していきます。

​生活の質を取り戻す

閉塞性動脈硬化症に代表される末梢動脈疾患は、日常生活の質に直接影響します。しばらく歩くと”ふくらはぎ”などが痛くなって歩けなくなる(間歇性跛行)、傷が治りにくくなるなどの症状から日常の活動量が下がっていってしまいます。最後には傷が壊疽し足を切断しなければならないこともあります。

これらの症状は、必要な場所に十分な血液が届いていないからで、酸素と栄養が不足しています。体に良いものを食べても改善は難しいので、血流を回復させる治療が必要です。生活の質を維持できることを目指し、検査をして治療が必要であればライフスタイルなどに沿ったご提案をしています。

心臓も健やかに

末梢動脈疾患の30%から50%の方に、心臓に酸素と栄養を届けている冠動脈という血管が狭くなる狭心症が合併しているといわれています。これは、冠動脈CTや血管撮影など心臓の検査をおこなうことで確認できます。

狭心症と診断がついた場合は治療が必要になることがあります。治療には薬物療法、カテーテルによる治療、冠動脈バイパス術という手術がありますが、病気の状態に合わせてご提案をしています。

低侵襲治療を実現する環境

治療は血管撮影装置(アンギオ)がある部屋でおこないます。この部屋に、治療に必要な機器・材料をセッティングして、末梢血管カテーテル治療をおこなっています。

アンギオ室

主な対象疾患

使用する主なデバイス

主に使用するものを以下にご案内します。実際の治療においては全てを使用する訳ではなく、治療対象になる血管の場所や病気の状態に合わせて選択し使用します。

バルーン.JPG

バルーン

バルーンは、細くなった血管を内側から広げるために使う器具で、カテーテルの先端に風船がついていて手元の操作で膨らますことができます。

ステント.JPG

ステント

ステントは、血管を内側から広げ維持するために使う器具で、網目状の筒のような形をしています。バルーンで広げただけでは、血管が再度詰まってしまいそうな病変に使用します。

薬剤コーティングバルーン.JPG

薬剤コーティングバルーン

治療後に血管が再度細くなってしまいそうな病変には、バルーンの表面に薬が塗ってある薬剤コーティングバルーンを用いることがあります。バルーンを拡張することで、薬を血管内に塗ることができ、血管が再び詰まってしまうのを予防するものです。

薬剤溶出性ステント.JPG

薬剤溶出性ステント

ステントの表面に薬を塗ったステントのことです。 血管内に留置した後、薬が徐々に血管に溶け出して血管が再び詰まってしまうのを予防するものです。

ステントグラフト.jpg

カバードステント

ステントの内側に膜があるステントで、これ自体が血管の役割をします。バールン、ステントの治療をおこなっても再度血管が詰まってしまう場合や、病変のある場所が治療により血管破裂のリスクがある場合などに使用します。

IVUS.jpg

IVUS -intravascular ultrasound-

IVUS(アイバス)は血管壁を観察することができる超音波を用いた診断装置です。先端に小型超音波振動子が装着されたカテーテルを血管内に挿入しておこなう検査です。IVUSは血管壁の内膜の裂開、解離や残存する粥腫の状態などを描出でき不安定プラークも診断できます。これを用いることで、より病態に合った治療選択ができます。

治療の一例

お腹から下肢の付け根の動脈、治療の一例

​血管撮影装置(アンギオ)による動画で、黒く染まっていくところが血管です。

治療後の方が動画左側の血管が太くなり、動画右側の方に黒く染まる範囲が出現しています。

網目状に見えるのはステントです。治療により血流が改善しています。

治療前

治療後

足の動脈、治療の一例

​血管撮影装置(アンギオ)による動画で、黒く染まっていくところが血管です。

治療前は血管がほとんど見えませんが、治療により血流が改善しています。

治療前

治療後

​膝下の動脈、治療の一例

​血管撮影装置(アンギオ)による動画で、黒く染まっていくところが血管です。

治療前と比較して、治療後の方が黒く染まる範囲が広くなっていて血流が改善しています。

治療前

治療後

​下肢の付け根から足の動脈、治療の一例

​血管撮影装置(アンギオ)による動画で、黒く染まっていくところが血管です。

治療後の方が血管が太くなり、足にも血管が出現し、足の先まで血液が届いていることがわかります。

網目状に見えるのはステントです。治療により血流が改善しています。

治療前

治療後

治療を担当する医師

尾辻先生OPE.jpeg

尾辻 秀章
Hideaki Otsuji

​循環器内科医

- 末梢動脈カテーテル治療 -

- 冠動脈インターベンション -