カテーテルアブレーション(RFCA-Radiofrequency catheter ablation)は、カテーテルという直径2mm程度の細い管を、足の付け根や首の血管から心臓に挿入し、心臓の不整脈発生部位にカテーテルを当てて心筋を焼灼することで、不整脈を根治する治療法です。
まず、カテーテルの先端についている電極で心臓内の電気の流れを分析することで、不整脈の原因箇所(患部)を突き止めます。これを心臓電気生理学的検査といいます。
次に、アブレーション専用のカテーテルを特定された患部に到達させて、高周波通電をします。カテーテルの先端についている電極に触れている領域の心臓組織を電気的に焼灼して、不整脈の原因になっている異常な電気伝導を遮断します。1回の焼灼で、電流を流す時間は1分以内、焼灼範囲は5mm程度で、必要のない部分まで焼灼してしまうことはありません。治療が必要な範囲に応じてこれを繰り返します。これにより、心筋を動かすために流れている電気が正常な状態になって、心筋が規則正しく動くようになります。
不整脈の種類や病気の状態にもよりますが、手術は2時間〜4時間程度で、胸を大きく開く開胸手術に比べて体に負担が少ない治療法です。一方で、病気の状態によってはカテーテルアブレーションを適用できないことがあります。この場合は、当院循環器内科と心臓血管外科が協議して、メイズ手術(不整脈に対する外科手術)の適用について検討していきます。
放射線被曝を減らし正確な治療を
現在のカテーテルアブレーションにおいて必要不可欠となっている3Dマッピングシステムを完備し、最新鋭のCARTO3 version7/CARTO UNIVUを導入しています。
CARTO systemは磁気センサーを用いて、心臓内でのカテーテルで得られた情報を3Dで立体的に表示します。また、CARTO UNIVUを用いることでアンギオ装置によるエックス線撮影情報も統合して表示することが可能です。
これにより、正確に不整脈を診断することが可能になるばかりではなく、磁気センサーを用いてカテーテルの動きを確認するため、従来のアンギオ装置によるエックス線のみを用いた方法より、患者様や術者の放射線被爆を大幅に減らすことができます。
CARTO system、CARTO UNIVUを使用している様子

心臓の電気の流れを分析している様子
心臓電気生理学的検査

低侵襲治療を実現する環境
治療は血管撮影装置(アンギオ)がある部屋で行います。この部屋に、CARTO3 version7/CARTO UNIVUなど、治療に必要な機器をセッティングして、カテーテルアブレーションをおこないます。

アンギオ室
使用する主な機器・デバイス

CARTO3と高周波焼灼装置
CARTO3本体は上記でご紹介した3Dマッピングシステムで使用する機器です。高周波焼灼装置は、300~750kHz の高周波電流を発生させることができます。アブレーションカテーテルを接続することができ、心筋焼灼の際のエネルギー源になります。

アブレーションカテーテル
アブレーションカテーテルの先端には温度センサーが内蔵され、常に焼灼部位の温度を測定していて、適切な出力の高周波通電による焼灼がおこなえるようになっています。また、カテーテルの先端部分を自由に屈曲させることができるようになっていて、焼灼部位へ正確にカテー テル先端を接触させることができます。
治療の一例
手術時間 130分 透視時間 2.1分
赤い点、ピンクの点がカテーテルで心筋を焼灼して、異常な電気伝導を遮断した箇所です
左が背中側から見たイメージ、右が胸側から見たイメージです

治療を担当する医師

田上 和幸
Kazuyuki Tanoue
循環器内科医
- カテーテルアブレーション -

山下 恵理香
Erika Yamashita
循環器内科医
- カテーテルアブレーション -